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シーズシーからのメッセージ(2011年)

 ■シーズシーが目指すもの。それはクリーン化を導入する企業や研究機関、または、そこに属する人たちとともにクリーン化を実現し、その企業様の高品質と高生産性の下支えになることです。その目指すべきはどんな姿なのか? 変動するクリーン化ニーズと工場の現場を視野に入れてまとめてみました。シーズシーのクリーン化への取組をご紹介します。





■変化するクリーン化ニーズ

2000年以前はクリーンルームをはじめとするクリーン化技術のニーズは半導体関連の用途がその大半を占めていたように思います。それが、現代では非常に多くの業種・業界で採用・導入されるようになりました。具体的にはスマートフォンや携帯ゲーム機を中心とした各種デジタル家電の組立、その中核部品となる半導体、液晶、あるいはコンデンサや水晶発振子など各種電子部品分野のデバイス製造、また、ガラスやフィルムなどの各種機能性材料の製造とその加工、軽量化のためにプラスチック塗装が増えてきた自動車塗装、その他金属塗装、プラスチック塗装、宇宙開発分野、医薬品、食品、化粧品、その容器・包装材、ごく最近では植物工場と、数え上げてもきりがありません。

日本のクリーン化技術は、我が国の半導体全盛期において長い時間と多くの技術者達により作られたもので当時は世界の最先端でした。一例をあげれば、現在のクリーンルームの国際統一規格「ISO 14644-1」は日本国内の規格「JIS B 9920」がほとんどそのまま採用されているほどです。

ところで、半導体製造とは非常に特徴的な業界です。なぜなら、最終的にはCPU、やメモリ、CMOS、MEMSなど違う製品になるとしても、はじめの原材料となるものは同じシリコンウエハなのです。ですから、研究開発を行うにしても皆が同じ方向を向いているのである意味簡単でした。当時はよく年末のセミコンショーという展示会で今後のロードマップが議論されたものです。このような状況ですから、標準化・規格化が相当な速さで進んだのもうなづけます。
 クリーン化に関して(微粒子対策の視点で)言えば、1µm以下の粒子が付着してしまうとそれを除去するのが大変困難なので、その粒子の特徴である、空気中に浮遊しているという状態の時にこれを除去しよう、という考え方が主流でした。

まとめて言えば、2000年以前のクリーンルームは、「半導体を中心とする高度な微細加工を必要とする工程のための、気中パーティクルの濃度管理をされた部屋」ということになります。・・・JISに定義されたクリーンルームとは?という問いの回答そのものです。
ちょうど2000年前後から、様々な業種・業界でクリーン化が導入されて行きます。個人の経験で恐縮ですが、液晶と半導体を合体させたような製品=ポリシリコン液晶の開発という案件に携わったことがありました。* この製品が普及するとそれまでより携帯電話の画面が一回り大きくなり、より色彩が鮮やかになりました。その当時、液晶開発担当者から聞いた言葉があります。「今まではゴミだらけの中で作っていたなあ。」
*もちろん、クリーン機器の営業と言う意味でです。
電話にしろ、ゲームにしろ、カメラにしろ、より便利により高機能により軽く小さくというニーズがあり、一回り小さく高機能になるたびに爆発的に売れました。その開発の過程で、次第に異物対象のサイズが小さくなり、やがて眼に見えないほど小さなものを対象としなければならなくなりました。ダウンサイジングと同時に 、高品質も維持するために加速度的にクリーン化の導入が必須となっていきました。
どんな工場でも昔からゴミホコリや製品が汚れるからNGとなる、不良品は存在していました。対象となる異物が、目視不可になった時点で急に対策が難しくなったので、なんとかならないか、といことで導入され始めたのがクリーン化技術なのです。
特に表面加工をする場合、ある工程の後ではそれ以前に付着していた異物が除去できないような工程があります。蒸着、スパッタ、CVDなどの成膜工程、あるいは、塗装、ラミネート、コーティング、精密印刷などもそうです。こういう工程では、高生産性、つまり、やり直しなしでOK品を生産する直行率向上につながる技術としてクリーン化技術が採用されていきました。これは高機能のためだけでなく、見た目の良さ、つまり、外観品質の良さともつながる技術です。

また、高品質には安心・安全につながる指標もあります。異物混入を極力避けるという点でもクリーン化技術が使われています。これは食品、医薬品、化粧品、日常衛生品関係製造工程で多く導入されています。
 産業空洞化が叫ばれるようになって、「日本のものづくり」が見直されるようになったとき、日本製(=made in Japan) のメリットとして、この高機能・高品質という言葉がよく使われるようです。いつの間にか、クリーン化技術は日本のものづくりを下支えする技術となって行ったのです。

しかし、ここで対象となる異物の大きさは目に見えないほど小さいのですが、空気中にずっと浮遊しているわけではありません。具体的には粗粒子または粗大粒子として定義されているのですが、気流に乗って漂い、最終的には落下してきてそのまま堆積していくという特徴があります。
■ポイントはダストの「見える化」

規格で定義されたクリーンルームの気中清浄度の評価はパーティクルカウンターを使用することになっています。すなわち、限定された空間内での気中の浮遊粒子の上限濃度管理を拠り所としているわけですが、、前項であげたように、良品率・直行率の向上を目標とした場合、直接的にワーク表面や装置、治具などに付着したゴミホコリを評価する必要があります。その原因となる粗大粒子は、常に気中を漂っているわけでなく、ゆっくりと落下してきて堆積するからで、その状態ではパーティクルカウンターでは測定ができません。

この粗大粒子対策のポイントは「見える化」です。以前から、顕微鏡などの方法はありましたが、現場から離れてオフラインで観察しなければなりませんし、狭い範囲しか見ることができません。ところが、クリーンルームライトを使用することで直接現場で目視確認が可能となりますので、対策が必要な個所の特定や導入後の効果をその場で有効的に評価することができます。
シーズシーの見える化ツール
  ■求められる新たなクリーン化ソリューション

世の中には多くのクリーンルームに関連したメーカーがあります。分野で言えば、建築、空調、クリーン化機器、(HEPA)フィルター、ウエア・ガーメント、什器、測定器、測定サービス(パーティクル)、その他備品類など多様です。
ただ、その基本技術は半導体時代のものをベースにしている企業がほとんどではないでしょうか?

シーズシーでは評価と言う点でまず粗大粒子対策を始めましたが、問題解決にも新たな流れが必要となってくるのではないか?と考えています。
それは以下の3点です。

○「見える化」評価ツール・・・クリーンルームライト、レーザーによる微粒子可 視化装置、気流可視化装置

○局所クリーン化提案・・・クリーンブースの役割の変化(簡易クリーンルームから局所クリーン化へ)

○運営・管理などソフト面でのサービス・・・教育、診断、PVセミナー

繰り返しますが、粗大粒子は落下してきて堆積します。気中の濃度を薄くすることはもちろん効果があります。しかし、堆積する以上、時間軸を考えなければならない、つまり、次第に増加していくということを見逃してはなりません。しかも、ある一定量まではNGにそれほど影響しないということがあります。バックグランドの埋もれて情報としてもノイズに隠れて感知することができない、そんな状態で次第に粗大粒子は堆積量が増していくのです。

これを防ぐにはハードであれば、その特性をとらえて対策をする必要があります。粗大粒子は気流に乗って挙動し、やがて落下して堆積するという特徴です。 
よく粗大粒子対策クリーンルームとして、ISOクラス7(209D;クラス1万)が採用されています。一般的に、その管理方法は対象異物が多数でその濃度を減らすという方法ですから、希釈と言う方法が使用されます。しかし、実態はそうでない、粒径30µmの異物を対象としているのであれば、その侵入を防ぐ別のやり方があるはずです。私たちシーズシーはそれを局所クリーン化と考えています。
  クリーンブースという装置は、以前はクリーンルームを安価に造る手段として盛んに設置されました。その目的では問題ないのですが、清浄度を微粒子の数を大きさに置き換えた場合の対策、すなわち、粗大粒子を対象とする場合は堆積対策を考慮した仕組みでなければならないということです。

また、まだまだ粗大粒子対策は始まったばかりです。わたしたちシーズシーでも、「見える化」ツールを活用できる前はその実態は経験値でしか語ることができませんでした。

そうすると、いち早く、うちのクリーンルームの実態はどうであるのか、どう対策するか、を議論する。そういうことから始めなければなりません。特にワーカーの皆様に速やかに理解させ、対策を実行させること。ここは重要なポイントになります。

グローバル経済ではトップダウン式のスピードが競争力を生むと言われ、最近では日本の企業もその体制を整えつつありますが、クリーン化に関して言えば、現場の力、ボトム部分での理解力が大切であると思います。なぜなら、まだ、評価するための方法の確立、規格化がなされていない部分だからです。ワーカーを教育しようにもマニュアルが存在しない。マニュアルがなければ海外のワーカーは動かしようがありません。

しかし、日本人のワーカーは優秀です。教えれば、分かってもらえる。見える化で目に見えない異物を見せてあげれば対策を自分で考えるようになる。そこで、シーズシーでは新たなビジネスとして、クリーンルーム診断、PVセミナー、などワーカー教育を視野に入れたソリューションが必要だと考えています。
■「強い現場」へのシーズシーからのクリーン化提案

もう一度、ジャパンブランドの強さを考えてみましょう。私論ですが、高品質、高生産性を支えているのは工場の現場の力ではないかと思っています。なぜなら、粗大粒子対策はまだグローバルな対策が体系化されていません。しかし、日本人はもともときれい好きです。清掃も丁寧にします。整理整頓も得意です。よく教育も行き届いていますし、総中流意識があるので、自分たちが工場の部品だとは思っていません。工場の運営・管理と言う点でも素直に協力してくれます。※海外ではすぐに労使抗争になります。 
さらに早いうちに(といっても10年やそこらですが)クリーン化ニーズを感じとってそのテクノロジーを導入して来ました。これはすでに浸透していて、クリーン化の基礎部分はもうできているのです。

海外との競争の差別化のひとつにワーカーも含めた現場の力があると思います。それは工場の役割の違う人たちがそれぞれの職務の中で協力し合い作り上げていくスキームです。

例えば、工場にはいろいろな役割・職務を持った人が配置されていて、それぞれの立場でクリーン化技術を必要としています。以下に簡単にまとめて、右表に私たちシーズシーが提供できる技術と合わせて記載してみました。
■おわりに

私たちシーズシーは第11期の目標として、「もっと自分たちのことを知ろう、もっと顧客のことを知ろう、もっと製品のことを知ろう」と言うテーマを掲げ、日々の活動の中でもお客様との会話や打ち合わせの中でも心がけています。また、ミーティング時には少しずつ、確認できたことを発表し、情報を共有することを始めています。

世の中の流れで言えば、国内産業の空洞化は避けられそうにありません。しかし、クリーン化技術はジャパンブランドを下支えする技術の一つです。さらに進歩する余地があります。私たちもほんのささやかな力ですが、お役にたちたいと願っています。
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