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| 2016.09.12更新 |
| VDA規格と繊維くず・金属片の挙動 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| クリーンルーム規格のページにドイツ自動車工業会(VDA)の作成した「組立における技術的清浄度」19.2を掲載しましたが、この規格の背景として以下のような文章が添えられています。 「自動車業界で見られる多くの流体回路(例えば、燃料システム、ブレーキ回路、潤滑剤および油圧システム、冷却及びエアコンシステム、エアーの取り入れ及び排出システム並びに更なる取り扱い)は機械的及び電気的装置と同様に、粒子を通じる汚染物質が機能的損傷の原因となる。」 そう言えば、流体回路でのクリーン化が必要な理由についてはTVドラマ「下町ロケット」をご覧になられた方であれば分かると思います。あのドラマでも流体回路中の異物がトラブルの原因でした。佃製作所のクリーンルームセットにもドラフトチャンバー(洗浄装置)が置いてあります。しかも清浄度はクラス5、更に製品の仕上げは手磨き。まさに「日本技術によるクリーン化」みたいな話でした。そういうモノづくりはグローバル化には通じないみたいですね。 |
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| クリーン化技術の限界 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| VDA19.2には以下のような文章もあります。 「清浄エアー技術を使用して管理できる微粒子は自動車業界で処理される多くの構成部品が懸念される限り、現時点では機能的はリスクを表してはいない。高価なクリーンルームの設置の利点はそのようなケースでは疑わしい。最高品質のクリーンルーム環境においてさえ、清浄エアー技術は、例えば、組立施設が作業中または包装により放出される時、サイズで5μm以上の発生する緻密な粒子を管理することが出来ない。」 簡単に言えば、高価なクリーンルームでさえ、アルミ切削くずの前では無力、ということです。本当でしょうか? |
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| 水滴、繊維くず、金属片をクリーン化機器で除去可能か? | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 今回の実証実験は上記を確かめるためのものです。使用するのは給排気を備えたクリーンウォール付のクリーンベンチ。見えやすいように黒カーテンで囲ってあります。テーブルの上にはパーティクルカウンター、粗大粒子用パーティクルカウンター、RACCARがありサンプル集取します。試料にはダイヤモンドヤスリで削ったアルミ粉、銅粉、コットンリンター(綿花の短い方の繊維)、ミストストリームによる霧の4種を使用します。撮影は暗室状態でレーザーシート光を使用しています。 ※ 微粒子パーティクルカウンター/型式:KC-52・・・0.01CF吸引×100 粗大粒子用パーティクルカウンター/型式:KC-20・・・1CF吸引x1 粗大粒子カウンター「RACCAR」/型式:CS-RA001・・・5分間測定/5 ※ どれも1分分の塵埃量に揃えています。
ほとんど真下に落ちますが風の影響でやや右に流されます。しかし、右端までは飛ばず、地点2がマックスの値を示しました。
粒子径が小さいのか、あまり動きは見えません。アルミと同じように右端よりも地点2がマックスです。
傾向としては地点3まで飛びますが、回収は不可です。直下の地点1でもカウントされ、挙動について難しさが伺えます。
ミストストリームの霧はこの中で唯一球状をしています。表面張力が高い液体だからです。しかも球は重力の影響を受けやすく形状による浮力を生じません。 従ってよく落ちます。また、RACCARでの採取は蒸発してしまうので不可です。
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| 考察 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||
| 結果、VDA表の再現ができました。やはり、繊維くずや金属片は一般的なクリーン化機器で除去することは不可でした。しかし、クリーン化機器を使うことで直下においてはほとんどの場合、製品は保護されることが分かりました。この一時的にでも効果的であることが「クリーンルーム神話」に結び付いていると考えます。 実際には製造は連続した時間であり、その点が解決しにくい問題を生みます。今回の実証実験では大量の粉塵を撒きましたが実際ははるかに少ない発塵が継続的に起こるということ。さらに、作業員や環境に付着して運ばれることが多いこと、発塵・付着の有無についてはクリーンルームライトなどのツールを使用しなければその実態は分かりません。よって、いつどの時点でどんなメンテナンスをすればよいのか、という疑問が起こります。 「クリーンルーム・クリーンブースの神話」はそれが一時的にでも高い効果があることです。導入当初は全く異物が除去されるので、エンジニアはまるで「神」のように称賛されますが長くは続きません。ほんの少し異物を撒いただけで工程には多くの異物が残ります。溜まります。そして増量していきます。ここをどうするのか?きちんと対策しておかなければ、効果は長続きしないということです。 私たちシーズシーは何でもクリーンルームOK、とは思っていません。施工せず、どのようなメンテナンスが可能か?どのような清掃が製品を守るのか?最低限の投資で長く効果的な方法を常に模索しています。以降の実証実験でさらに解説していきます。 |
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