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2016.10.12更新
クリーン化の失敗事例
今回はクリーン化しようとして思うような効果が出なかった事例を紹介したいと思います。もちろん、これまでもいつでもクリーン化に全力を挙げてきました。しかし、目に見えない世界。思い通りにならないことも多々ありました。これから、クリーン化を目指す会員さんの参考になれば、と思います。
【周りが汚い場合】
クリーン化の基本は気流形式によって「置換」または「希釈」を行うことです。「置換」とは一方向流式気流による空気の置き換えのことで非常に清浄度的にはよくなりますが、「希釈」の場合には周囲の影響を強く受けてしまいます。すなわち、周囲が汚れていると、思ったほどの清浄度が出ない場合があります。
■床が汚い場合
床の素材は大変重要です。ホコリが出にくい順に以下のようになります。
・濡れた床
・(乾いた)エポキシ樹脂塗装
・(乾いた)塩ビ(溶接止め)
・NG 絨毯
・NG 打ちっぱなしのコンクリート
・配線ピットの上
濡れた床は即効性で効果があります。なんせ、落下した異物は水につかまり浮遊しなくなりますから。塗装のような大きな異物が発生する汚染の多い工程ではかなり有効です。しかし、除去を考えてないと異物は溜まる一方になります。
それに対して効果が出やすいのは面が鏡面に近いものです。これを濡れたアルコールまたは純水で清掃すれば、かなり清浄度は上がります。(パーティクルレベルはもちろん数10μmくらいの異物でも効果は大)
床面の塗装は時間もかかるし、精度良く塗るにはコストもかかってしまいます。難しいですがお金の掛けどころでもありますね。清掃のしやすさも床面の状態ともかなり相関があります。
問題はホコリを保有しそうな素材が使われている場合。特に絨毯系の素材は相当なパーティクルを持ちますから、その上にミニエンのような簡易クリーンブースを建ててもまず清浄度は出ません。鏡面が出ているようでも打ちっぱなしのコンクリート上でも粉だらけなのでほとんど一緒です。事務室や研究室、または一般環境でのクリーン化を考えている場合、気を付けてください。
レポートしたいのは配線ピットが掘ってある穴の上にチェッカープレートがある場合。これだけでは空間が陽圧か陰圧か不明ですよね?この状態でクリーンブースを動かして全く清浄度が出なかったことがあります。チェッカープレートの上に塩ビシートを置くと急に清浄度が出ました。この場合は陽圧になって内部に溜まった異物を噴出していたようです。
■空気を下方から吸い込む場合
クリーンブースなどは天井上に配置したFFUから清浄化した空気を吹き出します。吸い込みはと言えば、更に上方のFFUの背面から吸引します。重力的に異物は影響を受けますのでより重力の影響が少ない場所から吸引しているわけです。しかし、エアコンなどは空気の吸い込み口が下方にあります。同様に吸引して同じように清浄度は出るのでしょうか? 答えはNOです。
クリーン化の教科書には「換気回数」くらいしか書かれていませんが重力的に異物は動くのでより下方であればあるほど濃い異物の層があると思ってください。そこから吸引すれば異物も吸引されてクリーンブース内に侵入してきます。
以前、エアコン+HEPAフィルターユニットでクリーン化しようとしたことがあって詳しいサイズや仕様は忘れてしまいましたがおよそ20×5×3mHの空間を5馬力エアコン2台で空調をかけましたが、清浄度が出ず、カーテンを延長して下部の開口を半分くらいまで狭めてようやくクラス1万以下になりました。この場合も下部からの吸引が原因だったと思います。この場合、全体的には陽圧でも部分的に陰圧ということがあり得るわけです。
■何故、他社のクリーンブースは清浄度が高い!?
いろいろなところで仕事をしていると他社の製品と比較されることがあります。特に昔から某大手クリーン化機器メーカーとは結構激しい戦いをして来ました。シーズシーの発足当初は正直負け続きでしたね。(その分、価格で勝つ戦略で凌ぎました)
あるとき、風量が同じでもホコリを舞い上げていることが清浄度悪化につながるのではないか?と思いつきます。当時、安価なFFUを開発していて価格では勝てるのですが、風の吹き方が良くなかった。要するにほぼ真下に吹いてホコリを舞い上げてしまう、わけです。
もっと、横に拡散した風を吹きたい、と思うようになりました。※いろいろ資料を調べると周囲に45度くらいがいいようです。散々探してポリプロピレン製の布が良いことに気づきます。これを製品化したのがCSバルーンです。製品化してすぐにまた某大手さんと勝負がありましたが、「CSバルーンがあるから」とお客様がシーズシーを選んでいただけたのはうれしかったですね。0.5μm<では約5割減、1μm<では約9割減と大幅に浮遊異物を減らすことが出来ます。
CSバルーンで気流改善
■失敗から生まれた秘密兵器
失敗にもパターンがあります。現場に行ってみると「圧倒的に多いのが事前に予想していた状況と違う」ことがあるということ。清浄度に関して言えば「思わぬ風が吹いている」状況が最悪です。上から下へ吹くエアコンの風、外からの突風、意外に多い局所排気の強い風・・・。運用方法はお客様に任せるとして、測定時にはこの風害を防がなくてはなりません。
こんな時に役立つのが、マスカーというホームセンターで売っているポリエチレンのシートです。片面には粘着テープが貼ってあり、薄いフィルム上になっています。
風を防ぐ役割としてはHEPAフィルターのリーク検査にもよく使用されています。
あとは弱い風が当たるだけでも発塵するような微妙な場所です。錆の発生した金属、コンクリート製床の仕舞などを覆ってテーピングします。これだけで大幅に発塵数を減らすことが可能です。
マスカー外観
【発塵が分からない!?】
明らかに発塵はあるのに手持ちの測定器では捉えられないことがあります。一番注意したいのが「発塵していない」と思いこむこと。思えば、クリーンルームライトを販売するまで何度この点で悩んだことか。発塵が分からないから発塵していない、と思い込むと対策が遅れとんでもないことになってしまいます。
■パーティクルカウンターの苦手なもの
昔、パーティクルカウンターは万能だと思っていました。しかし、考えてみると非常に狭い範囲の浮遊微粒子を測定するだけなのですね。特にハンディタイプでは吸引口を上下するだけで測定できる粒子数が大幅に変わります。沢山レンジのあるパーティクルカウンターでも最小可測粒径ぐらいしかあてにならないわけです。
表面パーティクルカウンター
■クリーンルームライトの苦手なもの
基本、横から光を当てて異物を観察します。暗視野照明法です。なので、一番よく見えるのはゼロ度の角度ですが案外これが難しい。例えば、廊下。ゼロ度で見ることは不可。また、床に模様やエンボスがあってもよく見えません。するとわずかな角度でやや離れた位置から見るわけですが、狭い前室などでは効果がかなり限定されてしまいます。シーズシーでは粘着ローラーに転写させたり、工夫してみることをお勧めしています。
また、コントラスト的に白色、光沢のある金属、凹凸の激しいものも見るには不向きです。白色などは完全にゼロ度でないとよく見えません。
それでも表面パーティクルカウンターと言われていた装置はクリーンルームライト登場後に市場から消えていきましたね。なんせ、吸引後に異物が残っているのをクリーンルームライトでは目視可能なので。
■エアシャワーの発塵
センサー付きのエアシャワーを開発しました。しかし、これには大変な努力と時間を要しました。まず、誰でも思いつくのが「パーティクルカウンターで測定すればよい」でしょう。しかし、パーティクルカウンターは一定量吸引し続けて濃度を返す装置ですし、さらに調べてみると、10μm>の付着微粒子はほとんどエアシャワーでは除去できません。次に、パーティクルセンサーという別の装置を使います。すると応答性が悪く精度が出ない、という問題点が出てきます。それでも数台販売しましたが、思うような結果は出ませんでした。何よりの問題点は使う側にすべてを委ねてはダメだと分かったことでしょうね。まだまだ課題はありますが更に進化を続けたいと思っています。
見える化ツールのご紹介
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