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JACA指針№41「クリーンルームの運転時の管理と清浄化指針」について

 (社)日本空気清浄協会では、その活動の中でクリーンルームの標準化に関する文書を各種指針という形でまとめて発行しています。その№41「クリーンルームの運転時の管理と清浄化指針」という題で、本文と附属書A-Fから成っており、附属書の項目は運転管理システム、クリーンルーム用衣服、クリーンルーム要員、設置型設備、資材と可搬型移動設備、クリーンルームクリーニングとなっています。これはクリーンルームの日常の管理に関する内容をほとんど網羅していると思われます。ただ、あくまで標準化するための文書ですから、個々の事項に関してはユーザー(および関連会社)での取り決めにゆだねられているところが多く、「結局、どうやって評価するんだ」という疑問はついてきます。また、内容が大変盛りだくさんのため特に少人数のクリーンルームでは、本指針のすべてに対応することはかなり難しいと思われます。

とは言え、クリーンルーム管理者にはぜひご一読いただきたい内容です。
日本空気清浄協会のHPからでも購入できます。会員:3,000円(税抜) 非会員:3,600円(税抜)

このページでは、指針の概要、インデックス、クリーンルームウエアの更衣手順(附属書Cより抜粋)、クリーンルームクリーニング(附属書Fより抜粋)を紹介いたします。
JACA №41-2005 

クリーンルームの運転時の管理と清浄化指針

Standard for Maintenance and cleaning in cleanroom operations
以下本文より抜粋しています。(以下抜粋部分は斜体)

 1.目 的
本指針は、クリーンルーム運転時の管理と清浄化に関連する基本的必要事項を規定する。項目には運転管理システム、クリーンルーム用衣服、クリーンルーム要員、設置型設備、資材と可搬型移動設備、クリーンルームクリーニングが含まれる。
 (略)
(中略)
4.必要事項
4.1 運転管理システム(OperationalSystems)
1)一連の通常運転時の手順を確立し文書化しなければならない。それにより、クリーンルームは、品質管理上製品と工程のために設計された状態を作り出す体制が作られる。
2)クリーンルームに適したリスクファクタにより、プロセスの汚染リスクの生じる領域を決定し、これらリスクをモニタする方法を設定しなければならない。これにより仕様範囲を外れた場合に行動をとることが可能となる。

(中略)
4.2 クリ-ンルーム用衣服(CLeanroomClothing)
1)クリーンルーム用衣服は要員と衣服による汚染物から環境と製品を守るために用いる。この封じ込め効果を最大化するには、使用する繊維、衣服形状及び衣服による要員を被う割合を選定しなければならない。

(中略)
4.3 要員(Personnel)
1)クリーンルーム使用に関係しない要員は、許可されない限り、クリーンルーム内に入室してはならない。また、許可されていない物品を持ち込んではならない。
2)要員には、クリーンルーム環境で正しく労働する準備のため、以下のような教育を受けなければならない。
a)衛生関連事項
b)汚染問題の原因となる宝石類、化粧品、その他の物品についての取り扱い
C)製品表面に移勤・沈着するような汚染の発生を最少化するような動作
d)労働に伴う健康と安全に関するすべてのリスクについて安全教育
e)要員はハザードから守られる

(中略)
4.4 設置型設備(Stationary equipment)
1)移動設置を伴うすべての設置機器は、クリーンルーム環境に移動する前に、十分に清浄化と汚染除去が行われなければならない。

(中略)
4.5 資材、可搬型移動設備(Materials,portable and mobile equipment)
1)すべての資材と可搬型移動設備は、クリーンルーム清浄度のレベルに適合させ、製品とプロセスを汚してはならない。
2)関連する手順は、クリーンルームに持ち込むすべての物品と可搬型移動設備が汚染されていないことを保証するために、確定されなければならない。

(中略)
4.6 クリーンルームクリーニング(Cleanroom Cleaning)
1)清浄化の方法と手順を規定し、日常的に実施しなければならない。それはクリーンルーム表面を許容清浄度レベルに維持するためである。
2)清浄化を実施する責任者を確定しなければならない。そしてその責任者は業務遂行のための特別な訓練を受けなければならない。
3)所定の清浄度レベルが維持されることを保証するために、清浄化のスケジュールを規定し、有効な頻度で実施しなければならない。

(略)
 

「クリーンルームの運転時の管理と清浄化指針」 INDEX

1.目的
2.関連規格
3.定義
 3.1 一般
 3.2 クリーンルームの状態(occupancy states)
4.必要事項
 4.1 運転管理システム(Operational Systems)
 4.2 クリーンルーム用衣服(Cleanroom Clothing)
 4.3 要員(Personnel)
 4.4 設置型設備(Stationary equipment)
 4.5 資材、可搬型移動設備(Materials,portable and mobile equipment)
 4.6 クリーンルームクリーニング(Cleanroom Cleaning)

附属書A(参考)運転管理システム

A.1 概要
A.2 汚染リスクの評価
 A.2.1 リスクの評価方法
 A.2.2 運転リスクの決定
A.3 モニタリングと是正行動
A.4 教育・訓練
 A.4.1 範囲
 A.4.2 訓練内容
 A.4.3 クリーンルーム要員のモニタリングと是正行動
 A.4.4 訓練の文書化
A.5 クリーンルーム支援のためのサービス
 A.5.1 一般
 A.5.2 クリーンルーム施設図書
 A.5.3 運転・保守説明書
 A.5.4 性能モニタリング
 A.5.5 保守手順書
 A.5.6 保守記録
A.6 クリーンルームの機能向上・改修
A.7 安全

附属書B(参考)クリーンルーム用衣服

B.1 クリーンルーム用衣服の機能
B.2 クリーンルーム用衣服の一般的な選定
B.3 織地の特性
 B.3.1 バリア特性
 B.3.2 耐久性(繊維からの発じん性)
 B.3.3 静電気特性
 B.3.4 その他の物理的性質
B.4 クリーンルーム用衣服の設計と製造
 B.4.1 衣服の製造
 B.4.2 一般的な設計
 B.4.3 人体発じん試験チャンバー (ボディ・ボックス)
B.5 熱的快適性
B.6 クリーンルーム用衣服の清浄化及び交換頻度
B.7 クリーンルーム用手袋
B.8 フェースマスク及びその他のヘッドギア
B.9 クリーンルーム用衣服の保管

附属書C(参考)クリーンルーム要員

C.0 クリーンルーム要員の責務
C.1 教育訓練
C.2 要員の入室
C.3 衣服と個人の持ち物
C.4 衛生
C.5 クリーンルーム用衣服の更衣手順
C.6 規律と行動
C.7 安全
C.8 要員のイニシアティブ(自発性)

附属書D(参考)設置型設備

D.l 一般
D.2 清浄搬入プロセス
 D.2.1 計画
 D.2.2 クリーンルーム以外で梱包したものの開梱
 D.2.3 クリーンルームで梱包したものの開梱
D.3 設備の輸送
D.4 据え付け手順
D.5 メンテナンスと修理
D.6 設備の搬出

附属書E(参考)資材と可搬型移動設備

E.l 一般
E.2 選定基準
 E.2.1 特性
 E.2.2 その他の評価項目
E.3 予備試験
E.4 搬出入手順
 E.4.1 開梱と搬入手順
 E.4.2 配管を通しての資材受け入れ
 E.4.3 資材と可搬型移動設備の搬出手順
E.5 資材と可搬型移動設備の種類
 E.5. l 一般
 E.5.2 クリーンルーム用衣服
 E.5.3 クリーニングで使用される溶剤と仕上剤
 E.5.4 ワイパー
 E.5.5 真空掃除機
 E.5.6 モップ
 E.5.7 バケツと絞り機
 E.5.8 床用ブラシ、研磨、ワックス装置
 E.5.9 脚立
 E.5.10 ほうき又はブラシ
 E.5.11 廃棄用容器及びリサイクル用容器
 E. 5 12 クリーンルームマットと粘着床材
 E.5.13 クリーンコンテナと梱包
 E.5.14 工具、エ具箱、メンテナンス用品
 E.5.15 安全用品
 E.5.16 文書類
 E.5.17 電子文書
 E.5.18 その他の物品
E.6 保管

附属書F(参考)クリーンルームクリーニング

F.1 概事
F.2 表面の分類
 F.2.1 一般
 F.2.2 重要表面
 F.2.3 一般クリーンルーム表面
 F.2.4 更衣室とエアロック重の表面
F.3 基本的清掃
 F.3.1 一般
 F.3.2 基本的清掃の分類
 F.3.3 真空清掃
 F.3.4 湿式清掃
 F.3.5 清拭清掃
F.4 特定表面の清掃
 F.4.1 清浄化すべき表面の特定
 F.4.2 床・床下
 F.4.3 壁・ドア・吸込口・窓・垂直の表面
 F.4.4 天井・吹出口・照明器具
 F.4.5 テーブル・その他の重要水平表面
 F.4.6 椅子・家具・脚立
 F.4.7 設置型設備
 F.4.8 カート・運搬車
 F.4.9 危害の可能性のあるプロセス表面
 F.4.10 クロスオーバーペンチ・キャビネット・ロッカー・その他の収納容器
 F.4.11 ゴミの容器
 F.4.12 クリーンルームマットと粘着性床材
F.5 表面処理
 F.5.1 一般
 F.5.2 帯電防止処理
 F.5.3 消毒
F.6 クリーニング要員
F.7 クリーニングプログラム
 F.7.1 清浄化プログラムの準備
 F.7.2 クリーニングプログラムのスケジュール
 F.7.3 通常清掃
 F.7.4 定期清掃
 F.7.5 建設・維持管理に伴う清掃
 F.7.6 緊急事態での清掃
F.8 清掃効果のモニタリング及びテスト
 F.8.1 粒子汚染
 F.8.2 微生物汚染
F.9 建設関連の清掃プログラム
 クリーンルームウエアの更衣手順(附属書Cより抜粋) (以下抜粋部分は斜体)
C.5クリーンルーム用衣服の更衣手順

クリーンルーム作業員は、クリーンルームに入室前にクリーンルーム用衣服に着替える。着用の手順は、汚染が更衣区域から広がらないように、衣服の着用及び脱衣の際に、クリーンルーム用衣服の表面の汚染を最少にしなければならない。更衣区域の設計及びクリーンルーム清浄度に応じて、着替えの手順が選択される。
一般的には、頭部から足に向かった手順が取られる。
基本となる手順は下に記載されているが、その他にも多様な手順がある。

1)靴からの汚染の除去(更衣エリアに入室前に、靴のクリーナー、クリーンルーム用マットを利用、又は一般靴を脱ぐ)。
2)不要な一般着を脱ぐ。
3)入室条件に対応し、身に付けた貴金属ははずす。
4)入室条件に対応し、化粧は落とし、保湿クリームを塗る。
5)入室条件に対応し、ヘア・キャップを着用する。
6)入室条件に対応し、手を洗い、保湿クリームを塗る。
7)入室条件に対応し、クリーンルーム専用のインナーウエアを着用する。
8)入室条件に対応し、靴カバー及びクリーンルーム専用の靴下を着用する。
9)入室条件に対応し、クリーンルーム用衣服の着用のための手袋を着用する。
10)所定のクリーンルーム用衣服を選択する。
11)顔及び頭をカバーするものを着用する。
12)所定のクリーンルーム用衣服を着用する。
13)入室条件に対応し、靴カバー又は特別なクリーンルーム用靴を着用する。場合によってはクロスオーバーベンチを用いる。
14)全身用の鏡を使って身に付けているものがすべて正しく着用されているか確認する。
15)クリーンルーム用衣服の着用に使う手袋はこの時点で取り外しても良いし、そのままつけていても良い、その後作業用手袋をはめる。
16)クリーンルームに入る。

クリーンルーム退室時のクリーンルーム用衣服の脱衣方法は、入室の度に新しい衣服を使用するか、又は再利用されるかによって異なる。作業の途中又は終了時にクリーンルームから退室するときは、次回作業へのクロス汚染を防ぐように心がける。着替え区域に入るまでクリーンルーム用衣服を脱がない。着替え区域において、まずクリーンルーム用靴を脱いで、汚染されないよう、所定の場所に収納する。着替え動作は入室と逆順によって行う。床・机・その他の備品に触れないように原則として下方より脱いで、定められた場所に汚染されないように所定の方法で収納する。クリーンルーム用衣服は、一般的には、持ち出し不可である。
 
  クリーンルームクリーニング(附属書Fより抜粋) (以下抜粋部分は斜体)
F.3基本的清掃
F.3.1一般 
クリーンルームの清浄度を維持するには注意深い一連の作業が必要である。清掃のレベルを決定し、そのレベルを満たす基本的方法が策定されることが望ましい。そののち、要求された結果を満足した場合、承認された方法がクリーンルーム内の各表面に適応可能となる。

F.3.2基本的清掃の分類
清掃業務は、現在の状態と清掃が終了した表面の望ましい清浄度によって、3種類の違った範疇に分けられる。これらは「簡易」「普通」「精密」である。

a)「簡易清掃」は粒径50μm以上の粗大粒子汚染の除去を扱う。このサイズの汚染は、通常床上にあり、更衣領域及びエアロック室に運ばれてくるものにみられる。生産の作業及び過程で発生する、壊れ・こぼれた物質も最終的には、表面及び床に存在する汚染の要因の一つである。建設及び装置の補修が粗大粒子汚染の原因となることが多い。
b)「普通清掃」は、粒径10μmから50μmのより小さい粒子汚染の除去を扱う。一般的なクリーンルーム表面に適用される普通清掃は、通常、壁及びベンチ、クリーン出入口を含んでいる。この大きさの汚染は、簡易清掃後にも残留する。普通清掃はより高いレベルの清浄度を提供するものである。
c)「精密清掃」は、通常粒径10μm未満の残留している汚染を除去するときに必要とされる。これは製品が保管又は製造場所及びその近くの重要表面の清掃で採用される。
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