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FFUの気流改善ツール
「CSバルーン」の開発の背景


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少し前の乱流式(非一方向流式)クリーンルーム(クラス1000~10万)には、HEPAフィルターの吹き出し口に【舟形パンチング】が付いていました。しかし、近年クリーンブースではほとんど見かけなくなりました。【舟形パンチング】は、なぜ姿を消したのでしょうか?元々なくてもよかったものなのでしょうか?実は、とても重要な役割を果たしていたのですが、ある事情により姿を消してしまいました。
その事情と共に「CSバルーン」の開発に至った経緯を紹介して参ります。ではまず、「舟形パンチング」について話を進めて参りましょう。

舟形パンチングの役割

舟形パンチングの役割はFFU(ファン付きHEPAフィルターユニット)から吹き出す清浄化された空気を周囲に拡散させることです。パンチングの開口率は30%程度で、一旦風を受け止めて側面の開口も含めて周囲に風を吹き出します。
では、なぜ拡散が必要なのでしょうか?
それにはまず、清浄度の高い層流式クリーンルームの気流について考えてみましょう。
舟型パンチング
パンチング
クラス100以上の層流式クリーンルームでは天井全面にHEPAフィルターを敷き詰め、床にはグレーチングを置いて風が吹き出すことで、空気がそのまま逃げるように設定されています。空気の流れが、ところ天のように天井から全面に押し出され、床全体へと逃がされます。これが、理想的な空気の流れです。早い風速は必要とされていません。

クリーンルーム規格では、クラス100の風速が0.2m/秒とされているのに対し、FFUの風速は一般的に0.5~7m/秒程度の速度があるため、このFFUを使用した乱流式クリーンルームでは空気の流れが乱れ、ゴミを舞い上げる原因となってしまいます。これを少しでも防ぐことがパンチングの役割でした。

パンチングが無い場合の弊害

先述している通り、パンチングの役割はFFUの風速を落として周囲に拡散させることですが、では、パンチングがなかったらどうなるのでしょう?
FFUから吹き出された空気は右図のように吹出口から床まで直進し、床にあたって周囲に広がり、その後、壁を伝って上に吹き上がります。クリーンルームやブース内でゴミが舞うこの現象はワークにゴミが付着する原因となり、パンチングがないとこのような弊害が生まれます。
ミニエン内の気流
ミニエンのエアの流れ

なぜ【舟形パンチング】は姿を消したのか?

近年、簡易的なクリーンルーム(ブース)が増え、それに伴い各クリーン機器メーカーが《小型・軽量・ローコスト》をうたったFFUを多く販売するようになりました。それ自体は問題なく、むしろ使い勝手も良く、導入しやすい価格ということもあり各社で多数採用されるようになりました。
しかし、軽量化を実現するためには静圧が低いファンを採用する必要がありました。FFUの性能に問題はないのですが、静圧が低いところにパンチングがあると抵抗に負けてしまい、その分、風量が少なくなってしまうために舟形パンチングは姿を消してしまったのです。
CSバルーン クリーンブース内
クリーンブースに
そういった背景から、気流をコントロールすることで清浄度改善に深く関わってくることに着目し、 【舟形パンチング】に代わる、抵抗に負けないツール「CSバルーン」を開発するに至りました。 特に、従来換気回数~風量のみで設計されてきた、クラス1,000相当のクリーンエリアでの気流改善に役立つものと思われます。 「CSバルーン」は、FFU吹出口に取付けるポリプロピレン製の布でできています。 この布自体は、長繊維でできているため自身の発塵は殆どありませんが、ご使用前に任意となりますが クリーンクリーニング後に、ご使用いただいております。 極めて静圧は低いので簡易タイプのFFUでも、ほとんど風量を損なわず、広い面積で吹出すことが可能です。 既設のFFUにも後付け可能で、取付けるだけでクリーンルーム(ブース)の気流を大幅に改善することが可能です。
では、実際に取付けた様子や実験実例をご紹介して参りましょう。  

清浄化した空気を拡散するということ

早速、FFU「CSバルーン」早速、FFUに「CSバルーン」を取付けた画像を紹介します。

下の写真、2枚を見比べて頂くとわかりやすいかと思います。これは、クリーンルーム内でスモークを発生させ、レーザーシート光でFFUから吹出される気流の様子を撮影したものです。
クリーンルーム内 CSバルーン無し 気流
CSバルーン無し
クリーンルーム内 CSバルーン有り 気流
CSバルーン有り
写真中央に注目頂くと、非常に速いスピードで清浄化された空気が噴出している様子が分かります。この場合、直下のみが清浄化されFFU近辺に強い誘引気流が発生し、この気流が粒子を滞留させる原因となります。更に床に当たった気流は、床に堆積した埃を天井近くまで舞い上げてしまいます。

上記に対し、「CSバルーン」を取付けた場合、周囲に緩やかに清浄化された空気を拡散させるためホコリの舞い上がりが軽減され、清浄度がよくなるだけではなく温度・湿度のバラつきを減らすことができます。

簡易ブース(ミニエン)にCSバルーンを取付けた効果

シーズシーのオリジナル簡易クリーンブース(ミニエン)にCSバルーンを取り付けてみました。
ミニエンのような小型局所クリーン化用の簡易クリーンブースでは、製品にホコリがつきにくいことを
目的に設置されることが多いですが、「CSバルーン」が無い場と、有る場合では、どうでしょうか?

下のグラフに「CSバルーン」有/無で比較してみました。
「CSバルーン」を取付けると、広いエリアで清浄度が確保しやすいことが分かります。

※ただし、製品が直下にしかなければ「CSバルーン」がない方が良いです。

クラス6(クラス1000)と言っても、ブース内の全域で同じ清浄度があるとは限りません。
小さなブースほど発塵負荷が大きく影響し、バラつきが大きくなります。
大切な製品にホコリを付けないようにするためには、「CSバルーン」は大変有効なツールといえるでしょう。
CSバルーン 小型クリーンブース内
CSバルーン 小型クリーンブース内
ミニエン取付時
ミニエンの上からの図

アルミフレーム式クリーンブース

ファンフィルターユニット
CSバルーン無しの時の0.5μm粒子数の変化CSバルーン有の時の0.5μm粒子数の変化

占有状態の製造装置設置時(at rest)

クリーンルーム規格「JIS B 9920」では、クラス表示と並行して、「どのような条件の時の清浄度か」を表示する(占有状態という)ようになっています。
占有状態には、【施工完了時】【製造装置設置時 (at rest)】【通常作業時】があります。
【施工完了時】と【通常作業時】では、明らかに状況が違うため清浄度が変わってくることは、ご理解いただけると思いますが、なぜ【製造装置設置時 (at rest)】が決められているのでしょうか?それは、大きな理由の一つが「装置を配置すると気流が変わる」からです。
通常、クラス1000以下の清浄度では、そこまで重要視しませんが、半導体デバイスの工場などは重要な要素となっています。

例:クラス1万の占有状態
とはいえ、【製造装置設置時 (at rest)】時に、様々な要因で気流の流れが変わりゴミが付着する原因になることは、あり得ます。
気流が速いFFUの吹出口の近くに装置があったり作業員がいる場合は、気流の変化でゴミが思わぬところで付着するということが起こるので注意が必要です。

◆JIS B 9920 清浄度クラスと占有状態について はこちらをクリックしてください

換気回数と清浄度の関係

クリーンルーム規格「JIS B 9919 クリーンルームの設計・施工及びスタートアップ」では、管理クラスの目安として換気回数が挙げられています。
エレクトロニクスの場合、クラス1000(JISではクラス6)として、換気回数は30~90回/時間とされています。かなり差がありますが、単に風量が多ければ上手くいく、というものではありません。【風量が多い=風速が速い】では、先述しているようにゴミが舞い上がり、床から壁、作業員から作業台に伝わって、ワークに付着しやすくなります。
本当に高い清浄度を求めることで必要なのは、より広い面積から、より遅い風を均一に吹出し、ゴミの舞い上がりを防ぐことです。

◆ヘルスケア製品用無菌プロセスのクリーンルーム例

◆マイクロエレクトロニクスのクリーンルーム例 

※清浄度クラス、気流形式、平均気流速度、適用例を表示

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