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| 2016.12.20更新 |
| 繊維くずの性質と対策 | |
| 今回はクリーンルームのユーザーがよく悩まされる「繊維くず」についてのお話です。繊維くずは基本細長く、曲がりくねったものが多いので、気流の影響を受けやすく、飛散しやすいのに、時間が経つにつれて徐々に降りてくる、大変やっかいな異物です。しかも、長さがあるため、球状の異物と比べ、わりと見えやすく、外観を気にする製品の天敵です。 このように、繊維くずで困っている工程が多くあるため、今回は様々な繊維を拡大して特徴を観察した上、対策を紹介したく思います。 |
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| 繊維くずについて | |
| 繊維くずは大きく分けて天然繊維と人造繊維の2種類に分類されます。 ◆天然繊維(植物繊維、動物繊維、鉱物繊維) ◆人造繊維(再生繊維:レーヨン等、半合成繊維:アセテート等、合成繊維:ナイロン,ポリエステル,アクリル,ビニロン等、人造無機繊維:ガラス繊維,炭素繊維等) 発生源の特定を行うには電子顕微鏡(SEM)を用いて形状を観察し、更に成分分析を実施する必要があります。SEMによる表面観察において特徴的な形状のものもあるので、見慣れてくれば、これら2分類に分けることも可能です。ここで一部紹介します。 |
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| ■綿花(コットンリンタ―) | |
![]() Wikipediaより |
まずは、天然繊維くずの代表的な綿花(コットンリンタ―)です。綿花は種子を包んでいる繊維で、種の保存のために風に乗せて遠くまで飛びやすいようにできてきます。太さは20μm程度で、形状は不均一のスパイラルです。曲がりくねった繊維となるのは、ネジレと不均一な太さが起因と考えられます。FT−IR分析では、セルロースが検出されます。 |
![]() 旭化成様のHPより |
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| ■ティッシュペーパー | |
![]() シルラボ・ブログより |
次は、ティッシュペーパーです。繊維自体が押し潰されています。押し潰された植物繊維は加工繊維として考えられます(コピー用紙など)。SEM観察おける発生源の特定には、この潰れも重要な情報です。FT−IR分析では、セルロースが検出されます。 ティッシュペーパーは短い繊維が押し固められた状態で繊維の脱落が激しいため、クリーンルーム内で使用することは避けましょう。 |
| ■クモの糸 | |
![]() National Geographic様のHPより |
こちらは、クモの糸です。太さは3〜5μmで、綿花のような曲がりくねった形状とは異なり、直線的かつ一本が長いです。 細い繊維であれば直線的でも浮遊しやすいものと考えられます。化学繊維と近いので分類・判別にはFT−IR分析が有効です。 クモの糸のような動物繊維の場合、蛋白質が検出されます。 このような繊維くずも不良の原因に繋がるので、防虫対策にも心を掛けましょう。 |
| ■人毛 | |
![]() JOEL様のHPより |
鱗形状の繊維クズの大半は髪の毛、或いは動物の毛です。FT−IR分析では、クモの糸と同じく蛋白質が検出されます。 人の毛髪対策では、毛髪を通さないフードやクリーンウエアが大事な役割を担っています。 |
| ■ポリエステル繊維 | |
![]() BOKEN様のHPより |
釣り糸(150μm〜)のように直径が太ければ質量も増えることで落下しますが、直径が細くなればその限りではありません。衣服用としては通常10〜50μm、極細糸(5〜10μm)異物として、セルロース同様、細く曲がりくねった状態となると風の影響を受け浮遊しやすくなります。 FT−IR分析では、ポリエステルが検出されます。 ポリエステルはクリーンウエアやワイパーによく使われますが、クリーンルーム仕様は繊維の脱落を防ぐため長繊維で使用されています。 |
| ■VDA規格での繊維くずの位置付け |
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![]() VDA19.2の図C.1 空中粒子対ルームコンセプト (分散性図) |
ドイツ自動車工業会によって発行されたVDA19.2規格では、工程の清浄度仕様書(ルームコンセプト)を検討する際に粒子のことを分散性によって「細かい粒子」と「繊維状粒子」に分けてみています。繊維状粒子は飛散性が高いことから、同じサイズと同じ密度を持つ「細かい粒子」(つまり、比較的に丸っこい粒子)よりクリーン化技術で排除しやすいとされています。 つまり、気中の繊維形状くずの対策として、気流管理が大事なのです。 |
| ■繊維くず対策に有効なツールのご紹介 | |
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気流を可視化する装置です。陽圧/陰圧の確認や気流の確認に有効です。 特に製品に向かう気流の上流に発塵する人や装置がないかの確認が不可欠です。当初のフロアーレイアウトでは様々な状況を加味して行いますが、物が増えたり移動するのに伴い気流が乱れるのが実情です。 |
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![]() |
条件が良ければ、10μmまでの気中粒子が見られます。更に、ミストストリームと併用すると、気流に乗っているミストがよりはっきり見えます。 |
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![]() |
気中粒子の対策に有効です。しかも、局所クリーン化によって効果とコスパの向上が期待できます。さらにCSバルーンとの組み合わせで層流も実現可能です。 CSバルーンの詳細ページはこちら |
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| 関連ページ | |
| ※繊維くずと金属片を比較する 「新事例1 繊維くずと金属片」のページ ※様々な物質の飛散性が分かる 「新事例3 VDA規格と繊維くず・金属片の挙動」のページ |
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| 関連商品のご紹介 | ||||||
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