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クリーンルーム超入門編

11.03.27更新
クラス1万ユーザーのためのクリーン化ロードマップ
クリーンルームの維持管理には作業員の教育が最も重要、ということはどなたにも異論がないかと思います。しかし、作業員の中には初心者やパートさん、あるいはハケンさんなど「クリーンルームって何?」というような方も含まれますので、この方々を対象とする教育も非常に初歩的な内容から始めなければなりません。

そこで今回、まったくの初心者向けに「クリーンルーム超入門編」を作りました。
※このページの見方・・・左のプレゼン資料はクリックすると拡大します。左側のプレゼンだけをご覧になっていただいても話はつながるようになっています。右側にはいわゆる「余白」のような関連のコメントやこのHP内の関連ページのリンクなどを記載しています。
 ●11.03.27 クリーンルームの歴史・クリーンルームの定義・クリーンルームの清浄度・ゴミホコリの正体と発生源・クリーンルームの入退室管理と作業員教育を追加しました。こちらをクリックしてください。
クリーンルームを設置する工場はここ数年来、非常に多くの業種・業界へと広がっています。
ずっと以前に宇宙服のようなクリーンウエアを着た人がクリーンルームで踊っている、そんなインテル社のテレビCFがありました。つまり、クリーンルームとはインテル社のような最先端の半導体メーカーを象徴するイメージだったのです。しかし、最近では化粧品や健康食品でよく見かけるようになりました。
女性の方にクリーンルームで作った化粧品とそうでない化粧品のどちらを選びますか?と質問すると大抵の方がクリーンルームの方を選びます。
今やクリーンルームは安心・信頼の品質を生む工場としてイメージされているのです。
クリーンルームの定義・・・JIS Z 8122より

コンタミネーションコントロールが行われている限られた空間であって、空気中における浮遊微粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、また、その空間に供給される材料、薬品、水などについても要求される清浄度が保持され、必要に応じて温度、湿度、圧力などの環境条件についても管理が行われている空間。

関連ページ・・・クリーンルームの定義の規格について
●FED−STD−209D(米国連邦規格、1988)

単位は英国単位(FS単位)。0.5μm以上粒子を基準とし、立法フィート中の粒子数を表示します。実際にはいまだに一番良く使われていると思います。
※クラス10、100、1000、10000、100000

●ISO14644−1(1999)

1立法メートル当たりの0.1μm以上の粒子数を10の累乗で表したときの指数で表します。
※ISOクラス1〜9
クリーンルームを使用する業界によって大きく2つに分けられています。
半導体、液晶、デジタル家電、エレクトロニクスの各分野のデバイス製造、組み立て工程はもちろん、フィルムなどの各種電子素材とその加工、自動車塗装、宇宙分野・・・などは工業用クリーンルームと言われています。

また、バイオロジカルクリーンルームに分類されるものには医薬品、バイオ関連、医療機器、病院、食品、化粧品、その包装材、ごく最近では植物工場と、どちらも非常に多岐にわたっています。
以前はクリーンルームと言えば、膨大な空調費がかかるエコからはもっとも縁遠いものでした。
しかし、最近は省エネ型のクリーンルームも数多く誕生し、さらに直行率を上げるという意味でのエコ貢献も出来るようになってきました。

特に最近では塗装分野で直行率を上げる手段としてクリーン化技術の導入が盛んです。
ゴミ不良の原因として、大きく分けると表面加工時に製品表面にゴミ・ホコリが付着して不良になる場合内部に混入して不良となる場合があると思います。

食品などで問題となるのは、毛髪・昆虫などの異物混入が代表的ですが、純度が必要な工業製品での異物混入問題も次第に増えてきていますので、この仲間に入れました。
経営的に考えると・・・大きく2つの目的があると考えられます。

1)国際規格で定められた清浄度の工場で製造することで、製品の品質が保証され、社会的な信用・信頼を得ることができる。

2)ゴミ不良を減らすことで、工場の生産性を上げ、利益を確保したい、という思い。
よく外国の方と話していると「ミクロン」とはいわず、「マイクロメーター」と言われます。ウィキペディアによると・・・

以前は同じ長さのミクロン(micron, 記号:μ)という単位が使われていた(これにはマイクロメータ(=精密工具)と混同を避けるためという意味もあった)。 これは1879年の国際度量衡総会(CGPM)で承認されたものであったが、1967年の国際度量衡総会で廃止された。ミクロンはSI併用単位にも含まれておらず、10-6 mを表すにはマイクロメートルを使うのが望ましい。・・・だそうです。
クリーンルームの対策の一番難しい点は、どれかを対策すればOKと言うことがない、ということです。だから、地道に少しづつ、数値を確認しながらクリーン化を推進しなければ、うまくいかないということがあります。

それは、ここにあげたように原因が恐ろしく多岐にわたっていて、ある時どれかがクローズアップされて、問題となる。その対策をして解決・・・しかし、また、別の原因で・・・となりがちです。

ここでは、あらゆる現場で共通する作業員の発塵について解説していきます。
なんといっても、クリーンルームの中で一番の発塵源は人間そのものです。
だからこそ以下に述べるようにクリーンルームの中には多くの禁止事項があります。ちょっと、窮屈な気もしますが、まず、「人間から多くのゴミが出るんだ」
という認識を持ってください。

また、最先端の半導体や製薬では人の手に触れない工法が確立されています。いわゆる局所クリーン化技術です。よく誤解されていることですが、非一方向流式(乱流式)のクリーンルームやブースは汚染空気の希釈であって、局所クリーン化とは別のコンセプトのものです。他の業種・業界でもヒト由来のゴミに悩まされているなら、局所クリーン化をヒントにしたクリーン化が最適だと考えられます。
クリーンウエア自身はほとんどゴミは出しません。ですから、クリーンウエアを選ぶ時にはウエアの発塵性を検討することはそれほど意味がないような気がします。それよりも重要なのはウエアの運用管理方法です。たった1回着用しただけでウエアの表面にはかなりのゴミが付着すると考えて間違いありません。加えて洗濯の方法・頻度・また寿命管理なども必要となります。
また、同様に手袋の管理も重要です。従来はこのようなゴミの付着の評価は具体的な方法が存在していませんでしたが、シーズシーの開発した落下塵カウンターを使用すれば、非常に簡単に評価が可能になりました。

関連ページ・・・落下塵カウンターの使用例のページ
関連ページ・・・コストと着心地を提案・クリーンルームウエアのページ
エアシャワーはベーシックなクリーンルーム機器ですが、意外とその詳細仕様や除去し易い異物・そうでない異物があるということは知られていません。そこでエアシャワーの入門編というページを作成しました。また、このページを起点にエアシャワーと組み合わせ使用すると効果的なグッズやエアシャワーの実験のレポート、シーズシーのエアシャワーのラインナップなどのリンクもあります。

関連ページ・・・エアシャワー入門編
作業員の周りの漂うダストを別名「汚れのオーラ」と呼ぶ人もいます。人が動くと床からの舞い上がりや自分から出るゴミを巻き込んで連れて行ってしまいます。特にこのオーラは霊感などでいうオーラと違って足元に多くでるようです。
また、首回りから吹き出す発塵を「ポンピング発塵」といいます。気中に多くのパーティクル(浮遊微粒子)をまき散らす原因となっています。

関連ページ・・・微粒子可視化装置(ポンピング発塵の動画があります)
ウエアやエアシャワーは日常生活で出るレベルではほとんどのゴミの発生や持ち込みを防いでくれますが、それ以外にも上記のスライドであげたような問題があります。そして、これらは作業員のマナー違反があると、とたんに数が増える傾向にあります。
よくクリーンルームの運用管理には作業員教育が重要だと言われるのにはこういう理由があるからです。

関連ページ・・・粘着マットのページ
クリーンルームまたはクリーン機器は気中に浮遊する微粒子を除去することはできますが、それより大きないわゆる落下塵は除去できません。だからこそ清掃は必要です。たかが清掃と軽く考えずにモノづくりの1プロセスだというとらえ方をした方がよいように思います。どんなシーンでどのような清掃グッズを使用すればよいのか、また、それぞれの清掃グッズのメリット・デメリットをしっかり把握しておくことが必要です。

関連ページ・・・クリーンルームワイパー
関連ページ・・・粘着ローラー
しかし、清掃と言っても相手は目に見えないほど小さなゴミです。どの程度できているのか、見た目ではまったく分かりません。だったら、見えるようにすればいいじゃないか。
という訳で、クリーンルームダストの可視化をするクリーンルームライトの役割が重要です。
同様にゴミを運ぶのは気流なので、気流を可視化して対策することも大変重要です。

関連ページ・・・ポラリオン クリーンルーム ライト
関連ページ・・・気流可視化装置「ミストストリーム」
クリーンルームのゴミ対策の大原則をまとめたものが「クリーンルームの4原則」です。その1は「ゴミを発生させない」ですが、何をどのような状況どうしたらどのように発塵するのかをあらかじめ知っておけば対策もやりやすくなります。

関連ページ・・・パーティクルカウンター
関連ページ・・・ポラリオン クリーンルーム ライト
その2「ゴミを持ち込まない」ためには事前の除去作業や持ち込むものの選別作業が重要になります。しかし、付着持ち込み対策においては静電気などを原因とする再付着の問題と除去作業での効率の評価が難しいという問題がありました。これらの問題に対しては落下塵カウンターを使用することで定量的な評価が可能です。また、ポラリオンライト+ブラックフィルターで繊維くずなどの付着状況の確認が容易にできます。

関連ページ・・・粗大粒子カウンターの使用例のページ
関連ページ・・・ポラリオン ライト+ブラックフィルター
その3「ゴミを堆積させない」ためには環境中での堆積状況の評価と除去ができているかの確認作業が重要となります。これらは気中の浮遊微粒子を測定するパーティクルカウンターではまったく分かりません。クリーンルームの管理をパーティクルカウンターだけに依存していると、清浄度とゴミの付着による不良との相関がまったく分からなくなってしまいます。やはり、落下塵カウンターやポラリオンライトが有効です。

関連ページ・・・落下塵カウンタのページ
関連ページ・・・ポラリオン クリーンルーム ライト
その4「ゴミを速やかに除去する」を実行するにはまず、表面付着ゴミを起こす落下塵はわずかな気流の乗って拡散し、最終的には非常にゆっくり落下して、思わぬ場所で製品に付着するという特徴がある、ということを理解しておく必要があります。もうひとつの汚染原因である交差汚染(=クロスコンタミネーション)の対策も同じです。交差汚染とは、例えば、汚れた手袋であちこち触れば、そこからまた汚染が拡大しまうような事象を指して言います。そうならないうちに、すなわち、速やかにゴミを除去する必要があるのです。

関連ページ・・・クリーンルーム内のダストについて考えるページ
クリーンルームのゴミの発生は一つではないので対策もどれか一つ行えばそれで終わりではない、という話を前述しました。もしも、何か対策で行き詰ったら、あるいはどのように対策すればよいのか迷ったら、そんなときは「クリーンルームの4原則」に立ち返ってみてください。きっと、そこに解決があるはずです。また、対策にはクリーンルームの「見える化」グッズが必ず役に立つと思います。
ここからまとめです。クリーン化の実行には4つの要素があると考えています。
1.クリーン化機器の設置
2.クリーンルーム維持管理のための備品の使用
3.クリーン化評価ツールによるクリーンルームの管理
ハード的にはこの3つです。さらにここに「作業員教育」というソフト的要素が加わります。教育は手間がかかりますが、高額なハードに頼ることを考えれば、ソフト面での充実で大幅なコストダウンが可能になります。また、安定した良品率を維持する上でも大変重要です。
クリーン化教育を行う上で最も難しいのは、作業員に自ら進んでクリーン化に参加しようという意識を持ってもらうことだと思います。それがないと教育直後はよくなるが、しばらくするとまた元に戻ってしまう、すなわち継続できなくなります。
こういう意識を「クリーン化文化」と名付けてみました。ちょっと前には大企業を中心にクリーン化推進のためのQC活動やクリーン化チームの組織があちこちで実行されていました。ところが、近年の不況でこの動きが弱まってきているように感じています。シーズシーでは、こういう考え方こそ、「日本で作られる製品は安心して使用できる高品質の製品」というジャパンブランドを支える屋台骨であったと思っています。
ゴミ不良が多い工場では、一度、自社の「クリーン化文化」について見直しをして見ることも重要ではないでしょうか?
皆さんのクリーンルームがよい製品を生み出しますように・・・。
 以下・・・クリーンルーム超入門編・・・附属です。11.03.27追加しました。
クリーンルームの歴史

 米国では1940年代、電気・精密機器の製造に清浄雰囲気の必要性から、空気がきれいなグリーンランドや大西洋上の船内を工場にしたそうです。その頃、米国原子力委員会によって放射性粉塵用エアフィルタとして、HEPA(high efficiency particulate air)フィルタが開発され、米国はこれを搭載したプレハブクリーンルームを軍用として第2次世界大戦で活用したそうです。戦場で通信機器・電子装置の故障の原因が浮遊微粒子のためだと判明したためです。特にレーダなどは70%以上も故障したとそうですが、微粒子を管理した清浄な部屋でこれら装置の組立を行うようにすると、故障率は数%程度に激減したと伝えられています。また、外傷を簡易無菌室で治療することで化膿も少なくなったそうだです

その後、クリーンルームは米国航空宇宙局(NASA)のアポロ計画や半導体の高密度化に伴って飛躍的に発展しました。このようにクリーンルームの歴史の初期には戦争、原子力開発、宇宙開発との大きな関わりがあり、超大国としての米国の役割が大であったと言えます。このような事情から、わが国でも長期間クリーンルーム技術は米国から導入した米国連邦規格(Federal Standard)によるクリーンルーム管理が採用されていたました。この規格は、現在でも習慣的に広く使用されていいます。しかし、1980年代になると国内半導体産業の発展に伴い、わが国のクリーンルーム技術は一気に高まりました。こうした中、1989年にJIS B 9920「クリーンルーム中における浮遊微粒子の濃度測定方法及びクリーンルームの空気清浄度の評価方法」が制定され、さらに各国でまちまちであったクリーンルーム規格を統一するため、1999年このJIS規格を元にクリーンルームの国際規格ISO14644-1が制定されました。

1990年代後半以降はわが国では半導体産業は衰退していきましたが、時を同じくして業種業界を問わずしてさまざまな分野で逆に、製品の高品質化、信頼性。安心を消費者に与える目的でクリーンルーム技術を導入する企業が増加してきました。そして、今ではジャパンブランドの高品質・高性能をささえる技術の一つとしてクリーンルーム技術が活用されています。
 クリーンルームの定義

JIS規格では、クリーンルームの定義は1994年に制定され、2000年に改訂された JIS Z 8122(コンタミネーションコントロール用語)に下記のように規定されています。

コンタミネーションコントロールが行われている限られた空間であって、空気中における浮遊微粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、また、その空間に供給される材料、薬品、水などについても要求される清浄度が保持され、必要に応じて温度、湿度、圧力などの環境条件についても管理が行われている空間。

また、1999年に制定されたISO14644-1にはクリーンルームの定義の項があり、以下の通り、記載があります。

浮遊粒子濃度が制御されており,室内における微小粒子の流入,生成及び停滞を最小限にするように建設され,使用され また例えば,温度,湿度及び圧力など,他の関連パラメータが必要に応じて制御されている部屋。

2つの定義はどちらも現在施行されているものではありますが若干の違いがあるのが分かると思います。いずれも気中の浮遊微粒子濃度の管理と必要に応じて温度、湿度などのパラメータが制御されて…という箇所は一致していますが、ISO14644-1には室内における微小粒子の流入、生成、及び停滞を最小限にするように建築され、使用され…というJIS Z 8122にない部分があります。この違いはJIS規格で主に空気質の管理についての定義なのですが、ISO規格ではさらに踏み込んで、クリーンルーム内部での生産や作業を踏まえたものであることを示していると思います。

微小粒子の流入、生成、及び停滞を最小限にするように… という語句は良く知られたクリーンルームの4原則にあげられた項目をごく自然に連想させます。すなわち、●ゴミを発生させない ●ゴミを持ち込まない ●ゴミを堆積させない です。
※残り一つは●ゴミを速やかに除去する。

4原則はクリーンルーム運営上の原則事項として、クリーンルーム管理者の中では広く用いられていますが、クリーンルームの設計・制作上でも重視されなければなりません。これはそのあとに続く、語句で建築され、使用され…と表現されているところからも、クリーンルームメーカー(設計製作側)とクリーンルームユーザー(使用側)が、お互い協議し合ってクリーンルーム設計、運営をする姿をよしとしていることが読み取ることができると思います。

また、クリーンルームは完成時がもっとも清浄度が高く、使用するにつれて次第に汚染が進むと言われています。クリーンルームの性能を維持するためには常に汚染に対する管理がなされなければならなりません。よくクリーンルームを完成させるとその後は十分な清掃もしていないような工場がありますが言語道断です。このような維持管理の見地からもISO規格によるクリーンルームの定義をよく理解し、活用することが重要だと思います。
 クリーンルームの清浄度

クリーンルームの空気清浄度はクラス表示で表され、クラスごとに対象とする粒子の径と上限許容値が決まっていて、ISOクラスは1〜9の9段階とされています。ISO規格(※JIS規格を元にしているので両者はほぼ同じ)クラス1のクリーンルームとは、1mの空気中に0.1μm以上の微粒子が10個以下に管理された空間であることを示しています。これを例えて言うと太平洋にアジが10匹以下しかいないということになり、とてつもないきれいな…というより何もない空間であることが分かります。

ところで、現在わが国で最も多く使用されているクリーンルームの清浄度と言えば、ISOクラス7あたりであろうと推測されますが、この場合以下の表では、0.5μm以上の微粒子が352,000個以下とされています。しかしこれではずいぶん中途半端な数字だなという感じがしますよね。そこで、すでに2001年に廃止された規格ですが、米国連邦規格FED-STD-209Dが現場では現在でも習慣的に使用されているケースが多いようです。この規格では立方フィート中の0.5μm以上の粒子数の上限値をクラス○○として表示し、クラス1、10、100、1000、10000、100000の6段階に分けられています。そして、ISOクラス7はFED-STD-209Dクラス10000とほぼイコールです。下表にはISOと FED-STD-209Dを併記しました。汎用パーティクルカウンターを使うとき、吸引量が機種にもよりますが約0.1立法フィート/分〜で、得られた数字をクラス換算するにはFED-STD-209D規格が分かり易く、現在でも多く使われている理由もうなずけます。
 備考1) 太平洋の基礎データ(面積1億6600万km2、平均深さ3.94km、容積6億5400万km3)を用いて計算すると、ビール缶(350cc)くらいの大きさの魚(ここでは「アジ」とした)が10匹となる。

備考2)1立方メートル イコール 35.31立法フィート

関連ページ・・・クリーンルームの定義の規格について
 ゴミホコリの正体と発生源

ゴミ不良の原因となるゴミホコリの発生源は多岐にわたり、どれか一つを対策しても終わりではありません。クリーンルーム導入にあたって一番に覚悟をしなければならないのが、この点だと思います。多岐にわたり、また、割合としては少しずつの積み重ねであるゴミホコリ対策は非常に根気のいる作業です。では、順にゴミホコリの原因・発生源をあげてみましょう。まず、工場外から侵入してくるものとしては、いわゆる大気塵があります。自然由来のものとしては砂漠で巻き上げられる砂塵、火山の噴火、海の飛沫、森林火災や花粉の飛散など。人為的なものでは工事や工場内の装置による破砕粉、摩耗粉など、また、火力発電所やゴミ焼却炉からの微小な灰や、自動車などから排出される塵埃など、これらは産業革命以来急激に増加したと人類の工業化による汚染、すなわち、化石燃料使用による塵埃と言われています。

工場内で発生するゴミホコリは工場内での密度も高く、ワークに付着しやすくなります。主に作業員由来のもの、原材料・副資材由来のもの、装置・プロセス由来のものに分けられます。

 1)作業員由来のゴミホコリ・・・クリーンルームの見地からすると人間はゴミのかたまりであり、常に無限と言えるほどのゴミホコリを発生させています。特に化繊製衣類から発生する「繊維クズ」は人間の動作により容易に脱落し、気中に放出されると、軽量のため気中を長時間漂いやすく、静電気を帯びやすいという特徴も重なってゴミ不良の原因の中でも多くの割合を占めています。また、「ヒトの皮膚片」も見逃せません。ヒトの皮膚は代謝により常に新しいものに入れ替わっていて、古いものは表面から脱落します。形状的には扁平で、非常にもろく触れると壊れてより小さくなります。油分を含むので付着すると取れにくいので処理が大変です。他に喫煙による影響、化粧品の影響も見逃せません。

 2)装置・プロセス由来のゴミホコリ・・・装置由来のゴミホコリとしては、駆動部や摺動部から発生する金属やゴム・樹脂などの摩耗片、ベアリングから出るグリース、圧縮空気に含まれるオイルミストのほか、清掃不足により内部に堆積した繊維クズなどの脱落が原因となることがあります。また、作業プロセスによっては高温蒸気の凝縮や化学反応によって極微粒子が生成し、それらがブラウン運動で衝突して微粒子が形成される場合があります。高温になる装置を使う場合には要注意です。
 クリーンルーム入退室管理と作業員教育

クリーンルームでは、作業者自身が一番のゴミ発生源になりうることをおのおの常に自覚して行動しなければならないし、また、クリーンルーム管理者は作業者の教育を怠ってはいけません。ところで、クリーンルームに入室する際には無塵衣を着用します。無塵衣は長繊維ポリエステルなどのホコリの出ない素材をホコリの透過がないようにびっしり目の詰まった平織で織り込んだ生地を特殊縫製したものです。それ自身の発塵がなく、内部からの透過がなく、表面にゴミホコリの付着が極めて少ないことが特徴です。着用したとき作業者の体の露出が少なく、つなぎ目も極力少なくなるように製作されています。

一見、無塵衣を着用すれば問題解決と思われますが実際には無塵衣の管理と着衣時の注意が大変重要です。まず、無塵衣を着用した人体からの発塵のメカニズムを考えてみましょう。@無塵衣からの発塵、A非被覆部からの人体の直接的な発塵、B無塵衣や靴に付着し持ち込まれたものの脱落、製品や装置への転写、C襟口・袖口からの漏洩が考えらます。

このうち、@無塵衣からの発塵は経時劣化や作業中のストレスによる生地の傷みによるものが多く、適切な管理が必要です。
Aは主に顔面の露出部からの発塵ですが、まばたきによる涙の飛沫、くしゃみや咳によるつばなどの飛沫も含まれます。また、化粧品の使用で発塵量は数倍〜数10倍増加するという報告もあります。手袋着用時、作業中に袖との隙間ができるようなことがあるので注意が必要です。
Bでは更衣室の管理が重要です。更衣室では一般環境から入り、一端それまで着用していた上衣を脱いで、無塵衣を着用することが多いようです。そのため更衣室内はホコリが多く舞っている状態で、これが無塵衣に落下してきて付着するため、無塵衣はクリーンロッカーなど適切な方法で保管するのが望ましいと思います。また、無塵衣はつなぎタイプのものが多く着用時に思わずその一部を床に付けてしまうことがあります。床に無塵衣を付けてしまうと床に堆積したホコリを無塵衣に付着させてしまうため一気に汚染されます。無意識で更衣している場合は、ほとんどの人が袖であったり膝下であったり、フードであったり人によりそれぞれですが、無塵衣のどこかを床に付けて着替えるのではないでしょうか。対策としては簀子(すのこ)を置いてホコリを床に落としやすくする、着替えのたびに粘着ローラーで床を清掃するなどの方法があります。
C動作により無塵衣の内圧が上がり、わずかな隙間である襟口、袖口より勢いよくホコリが飛び出す現象、すなわち「ポンピング発塵」がよく知られています。ポンピング発塵が起こると主に内部に着用した衣類の繊維くずや皮膚片を排出しますが、特に皮膚片は無塵衣にそのまま付着している場合が多いようです。よって、粘着ローラーなどで定期的に除去すると効果的です。

そのほか、人間の行動やクリーンルーム内部で使用する備品などによっても発塵は発生し、また、ゴミホコリの付着による内部への持ち込みも起こります。ですから、入室時だけでなく、クリーンルーム内の動作や持込み品については一定のルールの制定が必要とされています。ルールには作業員自身が守るべき内容だけでなく、管理者によって考慮され、設置されるべきものもあります。例えば、製品は常に清浄空気側に置き、発塵源である作業者は製品より風下側で作業するような配置を行う、といったケースがそうです。
 
 これがポンピング発塵だ!  上写真をクリックすると動画を見ることができます。
終わりに

繰り返しになりますが、ゴミホコリの原因は非常に多岐にわたり、少しずつの積み重ねであるので、何か対策を行っても一度にゴミ不良がなくなるわけではありません。地道な努力を欠かさないことが重要です。それにはエンジニアレベルではなく、クリーンルームに携わる作業者による「クリーン化文化の構築」が欠かせないと思います。「クリーン化の文化」とは作業員一人ひとりがクリーンルーム内をきれいに維持しようと常に心がけることです。すなわち、良品率に影響するゴミホコリはクリーンルーム内でも発生し、あるいは持ち込まれ、堆積するということを理解し、これを如何にワーク・プロセスに近づけないようにするか、これが大切なのです。

そのために(原因となる)ゴミホコリの発生源を知る
ゴミの除去方法を知る
効率的なクリーン化ラインを構築する
清掃をはじめ日常管理を徹底する
クリーン化評価方法を確立する

すべては、よい製品を作る努力であり、直行率・良品率を高める努力です。
これを効果的に行うには、定期的・定量的なゴミ対策の結果をグラフ表示することやクリーンルーム内で守るべきマナーを標語として張り出すなどの工夫が効果的です。単にクリーン化機器の導入だけでなく、適切な評価方法「見える化」の確立、作業員の協力によるクリーンルームの維持管理の3つの要素を組み合わせることが不可欠なのです。
 ※参考・引用文献
オーム社出版局:わかりやすい空気清浄化のしくみ 環境科学フォーラム(P99,110-114) 1999
ピューリフィケーション研究会 クリーン化技術入門 第2回「クリーンルームの清浄度とクラス」 (株)テクノ菱和田村 一 
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