| シーズシーへのお問い合わせの中でもっとも多いのがクリーンルームの定義や規格についてのものです。 このページでは、クリーンルームの定義と代表的な規格についての解説、また、JIS規格の中でクリーンルームに関連したものをいくつかご紹介いたします。 また、近年、あらゆる業種に拡大傾向にあるクラス1万(ISOクラス7)対象のクリーンルームを設置される工場が増えています。しかし、ゴミ不良を軽減する目的、あるいは消費者の方の信頼・安心のためにクリーン化を導入しようと考える工場の皆様と、ISOクラス1クリーンルームを頂点として論理的に構築されたクリーンルーム規格中の下位クラスとしてのISOクラス7(クラス1万)クリーンルームと位置づけは明らかに違いがあります。 特にクラス1万運営者の皆様が注意したいことをまとめて「クラス1万対象で考えるクリーンルーム規格」のコーナーを設けました。このページの下のほうにあります。ご一読下さい。 |
| クリーンルームの定義は1994年に制定され、2000年に改訂された JIS Z 8122(コンタミネーションコントロール用語)に次のように規定されています。 |
| 限られた空間、製品などの内部、表面または周辺について、要求される清浄度を保持するために必要とするあらゆる事柄について、計画を立て、組織し、実施すること。 |
| コンタミネーションコントロールが行われている限られた空間であって、空気中における浮遊微粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、また、その空間に供給される材料、薬品、水などについても要求される清浄度が保持され、必要に応じて温度、湿度、圧力などの環境条件についても管理が行われている空間。 |
| 現在、日本で一般に使用されている清浄度クラス表示は必ずしも統一されていません。方式ごとに基準となる体積や粒子径が違うために、どの規格による表示なのかを注意する必要があります。代表的なものは、次の4つです。 |
| JIS B 9920の清浄度クラスの表示で1m3中の0.1μm以上の粒子数を10のべき乗で表したときの指数で表します。ISO基準が制定されたのを受け、2002年に改定されています。 表示:クラス1〜9 ※クラス5〜8はFED−STD−209Dのクラス100、1,000、10,000、100,000にそれぞれ相当します。 |
| 単位は英国単位(FS単位)。0.5μm以上粒子を基準とし、立法フィート中の粒子数を表示します。実際にはいまだに一番良く使われていると思います。サイトの中でもお問合せフォームなどではこの表記を使用しています。 表示:クラス1、10、100、1000、10000、100000 |
| 単位はメートル法(IS単位)を優先し、英国単位(FS単位)を併記します。清浄度クラスは0.5μm以上粒子を基準とし、粒子数を10X乗個/m3で表し、X値をクラスとします。メートル法使用を明確とするためMを付加しクラスM(X)とします。 表示:クラスM1〜M7 ★清浄度の単位体積は1cf? 1立方メートル?★ →209Dと209Eの比較表はこちら |
| 日米欧を中心に初の世界統一規格として作成が進められています。 ISO規格は「クリーンルームと付帯する制御環境」を規定した次の二つから成ります。 1) ISO 14644−1 Part1「空気清浄度のクラス分け」 2) ISO 14644−2 Part2 「試験及びモニター手法」 ISOクラス表示では、基準粒子径は0.1μm、基準体積は1m3で、JIS方式が取り入れられています。 表示:ISO class1〜9 →ISOクラス分類表 |
| JIS規格の中にはクリーンルームや関連の深い機器・備品についての評価や管理についての規格があります。ここではその中からいくつかをご紹介します。 |
| ISO14644−1の制定を受け、2002年に改定された。主な改定点は以下の通り。 適用範囲:旧規格では適応範囲をクリーンルームとしていたが、改定規格では「クリーンルーム及び関連制御環境」としている。 清浄度クラス及び対象粒径:ISOと同じくクラス9とし、クラス規定0.1区切りの中間クラスが設定できるとしている。また、粒径については旧規格では0.1μm〜5μmの範囲であったが、0.1μmより小さな粒径についてはU表示、5μm以上の粒径についてはM表示を用い、評価対象とすることができる。 測定点の数:クリーンルーム面積又は気流通過面積の平方根として求める方法を採用。最少点数は1点。 測定回数:測定点数1点の場合は測定回数は最低3回必要であるが、測定点数2点以上の場合は、測定回数は最低1回。 評価方法:光散乱式粒子計測器による清浄度の評価方法とクラス4以上の清浄なクラスでは「逐次サンプリング評方法」が適用できる。 予備試験:旧規格では規定されていなかったが、「清浄度の評価」の信頼性を向上させるために、清浄度試験に先立ち、予備試験として、a.風量又は風速試験、b.差圧試験、c.誘引リーク試験、d.設置されたフィルターのリーク試験を行い、仕様どおりクリーンルームが運転されていることの確認を義務づけた。 粒子計測試験及び試験頻度:試験条件(試験頻度や試験方法)は、指定される清浄度クラスに応じて、表2のように示される。 また、以下の附属書がある。 附属書A(参考)清浄度クラス(表1)のグラフ表示 附属書B(規定)光散乱式粒子計測器による清浄度クラスの評価方法 附属書C(規定)粒子濃度測定結果の統計処理 附属書D(参考)対象粒径範囲外にある粒子濃度の表示法 附属書E(規定)逐次サンプリングによる評価法 |
| クリーンルーム施設の設計施工に要求される事項についての規定。関係する仕様規定は参考例として附属書に示されている。 附属書A(参考)制御及び分離の概念 附属書B(参考)清浄度クラスの分類例 附属書C(参考)施設の検収 附属書D(参考)施設の配置 附属書E(参考)建設及び材料 附属書F(参考)クリーンルームの環境制御 附属書G(参考)空気清浄度の制御 附属書H(参考)発注者/使用者と設計者/供給者間で合意すべき要求事項の補足仕様 附属書I((参考)参考文献 附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 この中からいくつか抜粋でご紹介します。 附属書A中 シェル状汚染制御の概念図 ※ワーク、作業員の動線とクリーンエリア、清浄度を考える上で参考になります。 附属書B中 ヘルスケア製品用無菌プロセスのクリーンルーム例 ※清浄度クラス、気流形式、平均気流速度、適用例を表示 マイクロエレクトロニクスのクリーンルーム例 ※清浄度クラス、気流形式、平均気流速度、換気回数、適用例を表示 |
| いわゆるパーティクルカウンターについての規定。以下の附属書がある。 附属書1(規定)粒径判別に用いる試験用空気の作り方 附属書2(規定)相対比較試験 |
| 送風機及びHEPAフィルタ又はULPAフィルタを内蔵し、作業空間を一定の空気清浄度に維持するクリーンベンチについての規定。(作業空間が負圧になるものには適用しない) クリーンブースについては適用できるとしている。また、ファンフィルタユニットについての附属があるが、解説中にクリーンベンチとファンフィルターユニットの試験方法は異なり同一に扱うことは出来ないとしている。 附属書(規定)ファンフィルタユニット |
| クリーンルーム用衣服(清浄衣服)の生地の内外に付着している粒子数の測定方法についての規定。顕微鏡法と光散乱式自動粒子計測器法の2種類がある。 |
| ウエーハ上に付着した粒子状汚染物質の粒径及び個数を光学的に測定する表面付着粒子計測器についての規定。 |
| いわゆる液中パーティクルカウンターについての規定。 |
| クリーンルームで用いる機器の運動機構が運転時に発生する微粒子の大きさと数を測定する方法についての規定。 ※この規格については97年の確認が最新であるが、それ以降にフラットパネルディスプレイ関係やフィルム加工ラインなど、急速に装置が大型化されており、同規格での測定が困難と思われ、更なる改定が待たれるところである。 |
| クリーンルーム及びクリーンルーム機器に用いる粒子捕集用のエアフィルタの性能試験方法についての規定。 |
| 【なぜ、クラス1万クリーンルームを導入するのか?】 近年は工場で作るものの「品質のよさ」きれいな空間で作られるものへの「安心感」などから、クリーンルームで生産されるものへの評価が高まっています。 工場を運営する立場から言えば、ゴミ・ホコリあるいは汚れによる不良が少なければ、効率のよい生産が可能で、「やり直し」のコストダウンができる、また、やり直しが少ないイコールエコ対策として、クリーンルームの導入を検討されることが増えているようです。 |
![]() |
||
| 【クラス1万クリーンルームとは】 しかし、クラス1万クリーンルームとは最上位のクリーンルームの規格から論理的に構成されたシステムの一部なので先のクラス1万環境のニーズとまったく一致するわけではありません。クリーンルームの導入をご検討されている皆様はこのあたりを注意する必要があります。 |
|||
| 【ISOクラスと209D規格】 ところで、このページでも使用しているクラス1万((FED-STD-209D、0.5μm/CF)という表現は現在は廃止されていて、現在は国際的に統一されたISOクラスを使うようになっています。この2つの規格は全く別の考え方なのでしょうか?実はどちらも気中の浮遊微粒子の個数と粒径に相関があることをもとに作られていますので、厳密にいえば全く同じではありませんが、ほぼ当てはまる個所があります。 上記表でよく使う部分に色をつけて分かりやすくして見ました。ISOクラス5に209Dのクラス100が相当し、同様にISOクラス6:クラス1000、クラス7:クラス1万、クラス8:クラス10万、となります。 また、0.3μm径を見ると、ISOクラス2:10、ISOクラス3:102、クラス4:1020・・・とほぼ10のべき乗で増えていきます。半導体業界など一部ではこのことから、ISOクラス3をクラス100、以下ISOクラス4を1000、クラス5を1万とする場合もあります。 |
|||
| 【パーティクルカウンターとの関係】 なぜ、完全にISOクラスへ移行してしまわないのかという問題についてはパーティクルカウンターとの関係があるようです。クリーンルームの清浄度を測定するには普通パーティクルカウンターを使用しますが、普及型のパーティクルカウンターは209D規格のもとになっているCF(=キュービクルフィート=28.3リットル)を使用しているものが多いからです。もっともよく使用されているハンディタイプではだいたい0.1CF/分くらいの吸引能力があります。ところが、同能力のパーティクルカウンターでISO規格の試料とされている1立方メートルを吸引するには353分もかかるので、現実的ではないと思われます。 |
|||
| 【クリーンルームの定義についての考察】 では、クリーンルームの定義の行間を読んでみましょう。下段に「クリーンルームの定義」を引用してみました。よく読んで見ると非常に大切なことが書かれています。 |
|||
| 「クリーンルームとは」・・・コンタミネーションコントロールが行われている限られた空間であって、空気中における浮遊微粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され、また、その空間に供給される材料、薬品、水などについても要求される清浄度が保持され、必要に応じて温度、湿度、圧力などの環境条件についても管理が行われている空間。 | |||
| まず、クリーンルームは限られた空間だということ。これは厳密にいえば、空気の流れ・ワークの動線・作業員の動線・容器など副資材の動線・・・など生産にかかわるすべてに言えることです。理想的にはこれらをすべてクリーンエリアと非クリーンエリアに分けてしまえば、よりクリーンな環境が得られます。しかし、現実的にはこれは簡単なことではありません。よって、どこをどの程度クリーン化するのか、しっかり計画することが重要です。クリーンルームを設置してもそれだけで対策ができるのは、「環境」だけです。クリーンルーム内のゴミ・ホコリはその一部でしかないということです。 |
|
||
| また、「空気中における浮遊微粒子、浮遊微生物が限定された清浄度レベル以下に管理され・・・」とありますが、クラス1万環境で浮遊塵が直接影響するケースはさほど、多くありません。ほとんどは落下塵(粗大粒子)が付着して不良となります。ところが、クリーンルームの定義中、実は落下塵については書かれていないのです。ここで浮遊塵と落下塵の違いについてよく理解する必要があります。 例えば、JIS9920中の清浄度クラスのグラフ表記には最大5μmまでしか記載されていませんが、これは浮遊する微粒子を対象しているからです。 ※参考ページ クリーンルームのダストについて考える。 |
|||
| それから、クリーンルームは「管理」された空間ということです。維持管理をしなければ、清浄度は保つことができません。例えば、落下塵は気中を漂い、ゆっくりと落下していきクリーンルームの中に堆積していきますが、これは清掃以外に取り除く方法はないのです。 また、多くの方がクリーンルームのゴミ・ホコリが目に見えないことに不安を持っておられます。見えない物を対象に管理するのは本当に大変です。パーティクルカウンターというツールがありますが数値化できて大変便利な反面、落下して付着したゴミを測定できないという欠点があります。 最近はクリーンルーム用の見える化ツールも多く開発されてきているのでそれらを活用することも大切です。 ※参考ページ クリーンルームのゴミが見える ポラリオン クリーンルーム ライト ※エアシャワーで落としたダストをキャッチするアイビーキャッチャー |
|||
| 【クラス1万設計について】 クリーンルーム規格の中には、クラス1万クリーンルームの設計についても言及したものがあります。このページ中のにも紹介した JIS B 9919 「クリーンルームの設計・施工及びスタートアップ」の附属書にある「マイクロエレクトロニクスクリーンルームの例」がそうです。ここでは清浄度に応じた(通常運転時;占有状態)、気流方式、平均気流速度、換気回数について一覧表にまとめてあります。 |
|||
| 右表を眺めてみてください。ハイクラス・ミドルクラスのクリーンルームで明らかに違っているところが見つかるはずです。 そうです、それはクラス5(=クラス100)とクラス6(=クラス1000)の間です。クラス5よりきれいな環境では気流方式は1方向流とされ、平均気流速度に規定がありますが、6より下では気流方式は非一方向流か併用方式とされ、平均気流速度ではなく、換気回数で管理するように書かれています。 |
|||
| 【気流形式について】 クリーンルームの気流形式には大きく2種類あります。ここでは詳しくは解説しませんが、ひとつはハイクリーン環境で使用される一方向流式です。以前は層流式と言われたこともありました。清浄化した空気を面全体で吹き出す方式です。 これに対して、ミドルからロークラスで使用される気流方式は非一方向流(以前は乱流式と言われたこともありました)といい、これは部屋の壁や天井に清浄空気を発生させる装置を組み込み、そこから吹き出した清浄化エアが室内を浄化する仕組みです。 では、改めて表を見てみましょう。クラス5までは一方向流式とされ、6以下は非一方向流式・・・ではありません。よく見落とされますが、非一方向流or併用式と書かれています。 つまり、クラス6より下の環境においても一方向流式を併用することが想定されているのです。 なぜなら、非一方向流式だけでは、ゴミをきれいな空気で希釈することで清浄化するので、いつでもゴミ・ホコリをない状態を作り出すことができないからです。ゴミ・ホコリはどこかへ消えてしまうわけではないので、一定時間室内にとどまり、やがて、排出されたり、室内に堆積したりします。そこで、本当に清浄化が必要なワーク・プロセスの周囲は小さな一方向流の空間を作り、その周囲を非一方向流の空間で構成するようにします。これが併用方式です。 よく、クラス1万クリーンルームだと非一方向流の大部屋を作って終わり、とすることがありますが、やはり、ワーク・プロセスを如何に清浄化するのか、といったコンセプトで設計することは重要だと思います。 |
|||
| 【換気回数について】 換気回数とは、対象となる空間に1時間あたりに供給される清浄エアの量を部屋の容積で割ったもので、1時間あたりに何回、部屋の空気が入れ替わったのかを表します。計算式は以下のとおりです。 清浄化された空気の供給量(立米/分)×60(分)÷部屋の容積(床面積×高さ=立米)=換気回数(回/時) 表を見ると非常に大きな幅があることに気づきます。例えば、クラス7(クラス1万)の場合も20〜40回/hと2倍の開きがあります。クラス6ではもっと大きくて30〜90回/時です。 なぜかというと、容積だけでは清浄度は決まらないからです。内部の負荷、つまり、室内での発塵や持ち込まれるゴミ・ホコリの量により、内部の清浄度は影響を受けます。もしも、これらの部屋でも無人無稼働の状態でクリーンルームを運転し続けると、希釈が進んでやがてはパーティクルカウンターでの値はゼロになります。しかし、ゼロの状態では生産をすることは難しい。クリーンルームの運転時にはある程度の発塵があり、それを希釈して必要な清浄度を維持するという考え方なのです。 |
|||
| 【クリーンルームの4原則】 クラス1万クリーンルームに限らず、クリーンルームは設置しただけでクリーン化ができるわけではありません。クリーン化設備は空気中、環境面でクリーン化をすることができますが、それは様々な汚染源の一部に過ぎないのです。 重要なのはハードに頼らず、ソフト面も含めクリーンルームを維持管理するため心がけです。そして、それを集約すると4つの原則にたどり着きます。これが「クリーンルームの4原則」なのです。 |
|||
プライバシーポリシー Copyright (C) 2002-2007 CSC Co,ltd. All Rights Reserved.